あんなに、笑いあえたのに・・・

-「もう会えないよ。」
彼の呟きの様なそのひとことで、私の恋はTHE END
何をどう受け取ればよいのか分からず、信じられない彼の態度に私は一瞬、フリーズした。


やさしい日差しが目に眩しい。
流れる車は、確かにどこかにへと急いでる。
生きた心地のしない、私の足元。
こうして立っていられることが、不思議なくらい・・・

何度も同じ風景が流れ、時計の針がくるりと回る
見慣れた町が近づいてきたところで、下りようとは思えない。
そんな、わたしは空っぽのまま・・・


やっと落ち着いてきた気持ちは、我に返ると、頭を上げた。
辺りを眺めると、ガランとした通路には、誰もいない。
席はまばらにシートは、赤色。
そこに太陽の日差しが濃淡をつけるように差し込んでいた。
もちろん座ろうとすれば、座れるはずなのにまったくこの体は反応せず、
この場所をまるで(自分の居場所)の様に、陣取っていた。

そこには、デパートの袋を抱きかかえ(うたた寝するおばさん)、
慣れない手つきで乳児を抱えバッグを探る(若いママ)や、(中年夫婦)。
時間が止まったような、不思議な空気が流れて・・・

もちろん、いつもの私はその中のひとりにすぎず・・・。
でも、今日は違う。

~その中に、今の自分の場所はなくて


また巡ってきた風景を眺めた。
「何週目?」
必死でそんな気分をはぐらかしている。
今にも、窒息しそうだと感じつつ、それでも下りようとしないこの頑固な足は確かに安らぎを求めている。

信じたくないよね、まだ

~あの公園で、弱々しく彼にすがり付けば、何とかなったかナァ
まだ、こんな事を思っている。
数時間前の彼との待ち合わせ・・・そして、別れ話
この脳みその反応は悪く…

「最悪…。」

16歳の誕生日、ひと夏の恋・・・いたいけな少女の心は痛む。
だか、辛いとか、悲しいとか…こういう感情は、はじめて。でも疑う涙腺は反応しない。
でも、分かっている。
~昨日までの私は、もういなんだって・・・いうこと。


心が悲鳴をあげ・・・
ニケツして走ったハイウェイが目に飛び込んだ。
不思議な事に、流れる景色の中で、その一角だけがはっきりと目に留まった。