暗夜が明けた。馬に跨った武者共が隊列を組み撤退していくのが望楼から覗けた。ふう、と溜息を吐き私は壁に凭れる。いつの間にやら涙が頬を伝っていた。微々たるものではない、洪水のごとき水量が地まで流れていた。それに気付かぬ程に凄まじい緊張が全身へと張り巡らされてあったのだと今更理解した。