ある晴れた日の放課後。


晴陵高校の生徒会室で会長の嶋田 耕平が珍しく仕事をしていた。



「会長、机の整理終わりましたか?」



もうすぐ出て行かなければならないこの部屋を掃除をしていた副会長の藤沢奈々花が手を止め、ズレてきた眼鏡を上げる。



「……………」






返事が返ってこない事を疑問に思った奈々花は耕平の後ろへ回り込み、その書類を覗き込む。



「宇佐美 圭吾…この人がどうかしましたか?」


耕平が見ていた書類は今度合併する姉妹校の天陵高校生徒会のメンバー表だった。



「いや…。何でもねー」



奈々花の声にハッとした耕平が曖昧に答え次の書類に目を通す。



「会長、一言いいですか」


「あぁん?」


「その書類に目を通すの遅すぎます」



奈々花が書類を渡したのが二週間前でその書類の人物に会うのは明日だ。



「前日くらいが調度いんだよ。早くから確認してもどーせ忘れちまう」