プラカードが完成した。
祐里の顔写真が載った,とても『生徒会立候補の物』とは言い難いカードだけど,祐里は前から目立つ事が好きだっただけに,その作品を作りたかったそうだ。

プラカード用の顔写真は,前日にPCのプリンタで印刷した物を使用した。
どうやら,祐里が大好きだった学園ドラマで,小6の男子生徒が,自分の顔写真を使ったプラカードを持って立候補した姿が目に入って,自分も同じようにやりたかったみたい。因みに,私は祐里が演説する際に,傍に居て「応援よろしくお願いします!!!!」と言う役目がある。正直言って,とっても恥ずかしいけれど,ずっと祐里の事を応援しているから,頑張って熱く応援する事にしたの。

完成から3日後―――。
愈々,生徒会立候補者の演説当日になった。学校が中高一貫だから,中等部と高等部があるのだけれど,中等部は中等部で,高等部は高等部で,それぞれ演説が行われる。勿論,祐里は中等部を代表して出るけれど,1年から3年まで立候補者がいて,その中から5人選ばれる事になっているの。うちのクラスからの立候補者は,祐里一人だけだけれど,他のクラスは2,3人は出馬している。

「愛果ちゃん......。やっぱし,あたし全然自信無いわぁ。。。」
祐里は自信をすっかり無くしてしまっている。クラスメイトのみんなは,祐里の事を暖かく応援してくれているけれど,選挙で当選するかどうかは投票で決まるから,当選する確率は僅かだ。

祐里は,今にも泣きそうな表情を見せている。

1時限目と2時限目で演説が行われる。
だけど,困った事に,祐里はどの様な演説をするのかを全く考えてなかったの!!!!

「愛果ちゃん,私,何て演説したらええか解らへんねんっ!!!!!!!!!!」

そんな事を言われても,私にはどうにも出来ない―――。
演説まで残り1時間を切ってしまった。
「あ~~~~,どうしたら良いんだろぅ!!!!!」
アドバイス出来そうにもない状態......。

何もスピーチ出来ずに,選挙を迎えてしまうのだろうか?