小林愛果,15歳―――。

中高一貫の中学に通っている。皆からは『愛果ちゃん』って呼ばれているんだけれど,両親の事が大嫌い。何故なら,ちょっとした事で「何ぐずぐずしてるんだよ!!」とか「いい加減に勉強しなさい!!」とばかり言われるからなの。
愛果には2つ下の妹がいるんだけど,私とは正反対で,妹は毎日の様に両親に可愛がられている。だから,私は妹の事が凄く羨ましいし,妹を可愛がる両親の事が大嫌いなの。

両親が嫌いな私は,学校にいる時が一番幸せなんだ。お友達は皆私の事を「大好きだよ♪」て言ってくれるし,困った時には直ぐに助けてくれる―――。
お友達と居ると,つい「両親なんて要らない!!!!お友達だけで十分だわ!!!!」と言いたい時が有るんだ。

そんな或る日の事,愛果の中学に転校生がやって来た。
名前は田中祐里―――。見た目は一寸ちゃらい女の子だけど,愛果は直ぐに祐里と仲良しになったの。祐里は,クラスメートで一番のお友達になったんだ。
祐里は勉強が出来,運動神経も抜群。そんな私は祐里の事を尊敬せずには居られなくなっちゃった。私は祐里に,両親が自分の事を全然可愛がってくれない事を話した。最初の頃は「何て酷い両親やねんっ!!!!」て言っていた祐里だけど,祐里は或る日私にこんな事を言って来たの。

「愛果ちゃんは愛されてるでぇ♥」と―――。

このメッセージの意味は,愛果は最初は全然解らなくて,少し戸惑った。
そして「どうしてこんな私が“愛されてる”の!?」と,祐里に対して反論をしちゃった事も有ったけれど,愛果はこのメッセージを通して,“愛されている意味”を,もっと多くの人に伝えたいと思う様になったんだ。