「なぁ、俊輔」
場所は変わって体育館。
ただ今、入学式まっただ中。
そんな中、俺の腕をつつくのは慎太郎しかいない。
「んだよ?」
「ひろちゃん、式辞読んでんじゃん。」
「それがどうかした?」
そう。慎太郎の言う通り、今、式辞を読んでいるのはひろだ。
「どうかした?ってさ!
式辞読むのって入試、トップ通過したヤツだぞ?
ってことはひろちゃんがうちの学校のトップ、ってことじゃん」
「ああ、そうだな」
「んだよ!その薄い反応!」
だってさ、慎太郎。
俺、なんとなくそんな気がしてたから。
ひろ、ずば抜けて頭、いいんだぞ?
昔からずっと、アイツはトップだったんだ。
だから式辞でひろの名前が呼ばれたとき、
やっぱりな、って思ったんだ。
「なーんか俊輔、ひろちゃんのことなんでも知ってるんだな」
当たり前だろ、慎太郎。
俺は…俺はずっと、アイツのこと見てたんだから。
だから、アイツが引っ越したのを知ったとき、
俺は…絶望したんだ。