美央の彼氏一輝君との出会いは、美央の家出したところから始まった。





「すごくイライラしてたあたしは、必要な荷物だけ持って家を飛び出したの。でもどこも行き場所なんかなくて、しかもよく知らない所だからどこに行けばいいかも分からなくて・・・。で、トボトボ歩いていたら、1人の男の人にぶつかちゃったわけ。“ごめんなさい”って言ったんだけど相手は“いいよ”って言いながらも、ずっと着いてきたの。でね、“いい加減にしてください”って言った途端、腕を引っ張られて建物と建物の隙間に体を押し付けられたの。」


「美央・・・?」


美央の手は震えていた。



「大丈夫だから聞いて・・・。」


「…うん。」



「押し付けられた瞬間何をされたかっていうとね・・・っ・・・いきなり胸を触られて・・・男は“いいよね”って言ったの。あたし意味が分かんなくて、怖くてその場から動けなかった・・・。“君もその気なんでしょ?”とか言われて・・・“はぁ!?”って感じ。」


美央の目からは薄っすらと涙がにじんでた。



「み・・・」


つらそうな美央を見ているのが嫌だったからそう声をかけようとしたとき



「聞いてってば!!!ヨシには知ってて欲しいの・・・。」



そう、切なそうに言う美央。



「ごめん・・・。聞く。」



「そんなあたしは声が出なかった。でも誰かに助けて欲しいからたった一言だけ、大きな声で“ヤダっ!!!!!!!”って言ったの。そしたら、その辺にいたのかな…?名前も知らない男の子。今の一輝君が“なにしてんだよぉ!!!!!!!”って…。相手の男の人を殴ってくれたの。」




そう言って、美央の目から一筋の涙が流れた。