何かを選べば、何かを犠牲にするのは当たり前。そんなことはわかってる。 ……わかった上での決断だった。 なのに、どうしてだろう。失う瞬間は、やっぱり涙が出てしまう。 「いままでありがとう。愛してた、本当に……心から」 最期に告げた言葉。 隣にいる直子は、涙ぐむあたしにしらけた口調でつぶやく。 「爪を切るくらいで、なに泣いてんのよ。1週間もすればまたはえてくるのに」