――次の日――



「ふわああぁ……あー………」



今は英語の時間。


あたしは先生に見えないように教科書で顔を隠したまま大きなあくびをした。



「今日はいつも以上に眠そうだね~。」



隣の席の彩ちゃんはシャーペンの頭を2回ノックしたあと、あたしを横目でチラリと見た。




「…うーん。今日は1時間くらいしか寝てないから……」





偽装ではあるけど…今日から“彼氏”が出来ると思ったら緊張で目が冴えて眠れなかったんだよね。



今も眠いんだけど、興奮してて居眠りすらできない…




「1時間!?大丈夫!?そんな仕事忙しいの!?」



「いや、仕事は早めに終わったんだけど、ほら…………えーと…あのー……あれだよ…ど、ドラマの台本っ!台本に目通したり!そういうのでね、ちょっと時間が遅くなって…」





彩ちゃんに偽装彼氏の話はまだ伏せておこう…


どんな人か素性がわかってから色々相談にのってもらいたいし…うん。




「そっかあ~…売れっこ女優は大変だねー。」


「売れっこなんて!あたしなんか売れっこじゃなくてヒヨッコってかんじだよ~。」


やっぱり事務所の先輩を目の前にすると自分の未熟さがよく分かるとゆーか…はあ…



顔にポフっと教科書を押さえつけ、ため息をつく。