我ながら上手くいった。

倒れたままの犯人の鼻先に銃口を突きつけたまま、俺は安堵の息を吐く。

話術で敵の意識を逸らせ、生じた隙を突いて反撃に転じる。

公安に限らず、軍隊の白兵戦などでも用いられるテクニックだ。

特に窮地に陥った時などに役立つ。

これを教えてくれた六道さんに、俺は心の底から感謝していた。

さて…。

俺は犯人の動きを封じたままで考える。

本来ならばこのまま正面玄関に仕掛けられた爆弾を解除して警官隊若しくはSATに突入してもらいたい所だが、生憎と俺は爆弾処理までは教わっていない。

引き続き単独での犯人制圧と人質救出を続行するしかなさそうだ。