───あれから少しして。





先輩とあたしは、なぜか校庭の隅にポツンと建っている、今にも倒れそうな物置小屋の中にいた。

プレハブ小屋だから、春だというのに熱気がこもっていて、おまけにホコリ臭いしカビ臭い。


「ここが仮の部室ネ♪ はぁ〜、どっこらしょと。ほらほら、ちぃーちゃんも座って座ってッ!」

「はぁ・・・・。てか先輩、仮ってなんですか? ココ、体育倉庫じゃないですか。学校からもハブられてんじゃねーですよ」

「ハハッ。ちぃーちゃんって、見かけによらずキツこと言うねー」

「うるさいですよ。もとからこういう性格なんです」


一瞬、こんなボロ小屋のどこに座ればいいんだと思ったけど。

先輩が自分の横にスペースを作ってくれたから、とりあえずそのマットに腰を下ろす。

走り幅跳びなんかで使う、あの緑色のマットの上だ。


「てか先輩、あと一つ、キツいついでに聞いてもいいですか?」

「なんでしょう?」

「あたし、いつから“ちぃーちゃん”になったんでしょう。やめてもらえませんかね、あだ名とか」