小野君と付き合って1カ月が経った。


相変わらず小野君の態度は素っ気ない。


でも、ここ最近小野君は毎日あたしを家まで送り届けてくれる。


どこかへ遊びに行くわけでもないし、家に上がるわけでもない。


だけど、小野君の隣を歩けることが単純に嬉しくて仕方ない。



「お前さ、あいつにもう出くわしてないか?」


小野君は家に帰る途中、あたしの顔を覗き込んだ。



「あいつって誰のこと?」


「乳首ピアス男」


あぁ……あの変態のことか。


遭遇したのは一回だけだし、その存在をすっかり忘れてた。


「大丈夫だよ。毎日小野君に送っていってもらってるし」


「そうか」


小野君はそれだけ言うと口を結んだ。