見えない明日を思案する事も大切だけれど、先ずは目の前の問題を片すが一番で。



ルックキラーが常日頃から口にする、“迷うよりも突き進む”人でありたいの。



何事にも自分を強く持ちたいけれど、ソレは簡単なようで甚く難しいから…――




「吉川さん、おはようございます」


「あ…岩田くんおはよう!早いね?」


いつもより早く出社すれば、トラブルプリンスの岩田くんロビーで声を掛けられた。



「いえ、例の…佐々木さんの件がヤマ場なんで」


「ああ!そうだね、お疲れ様」


松岡さんから指南を受け、彼は何とか剛史の会社の不具合処理をこなしているけれど。



「いえ、とんでもないです!

今回ほぼ任せて貰えた事で…、如何に仕事を軽く考えていたか分かりました。

…って、まだ先方からOK頂くまで終わりじゃないっすね」


スマイルキラーが一歩突き放した事で、どうやら少しは意図に気づいてくれたらしい。



「うん…、正確には“終わりはない”かなー?」


「…すいません、どういう意味ですか?」


「ふふっ、それは秘密…!」


必死な形相で考えている彼の表情に、また笑ってエレベーターへと乗り込んだ私。



窮地に置かれて知ったりや気づけた事が、短期間でこうして人を成長させるからこそ。



私もルーキーくんの奮闘する姿に勇気を貰って、明日から気も新たに頑張れそうだね…。




出発を前日に控えて、今日は松岡さんと最大手である取引先へと早朝に向かった修平。



そして私もまた様々な準備に追われていると、いつの間にか出張は明日に迫っていた…。