…出産してから毎日かかさず『えりな』は病院に来てくれていた。
それは見舞というより実際は仕事を兼ねて毎日来るのが自然な日課になっていた。
それで当然だった。
代理で仕事をとりあえずの形でバイトタッチしていたので毎日の売上げとシャブ屋の状況を報告するのが代理の『売人えりな』の役割だったから。
毎日の日当1万円に、えりなのイキシロをおとすのが決まりだった。
えりなは毎日の売上げと仕事の状況を淡々と話し私に報告と詳しく説明する。
出産して病院にいる上で聞きたくないのが本音やったけど任せたのは私。
私は『売人ゆか』から母親になれるのか?
もう、誰もかれもそっとしていて欲しかった。

そんな世界に足を踏み入れた私が甘かった。
病院にいながら世間のシャブの状況を知る事になったのは、先や大手や個人業者達が知ってるメインの私の携帯が退院前の2日を目前に鳴り始めたのです。
先から鳴る程に世間で入荷が難しくお金があっても入って来ない状況となっていたのでした。
私は自分がメインの先を1本に絞っていただけで他にもルートがある事は先や個人業者達も薄々気づいていた様で電話が鳴り続く様になったのです。そして私は、この状況で退院を迎える事になったのです。