―――龍心サイド――― 薄暗くなった空を見上げて、俺は一度大きく深呼吸をした。 「龍心、大丈夫?」 「あぁ」 家の前に着くなり、明菜は心配そうな顔で俺を見上げる。 俺の顔には、明菜にも分かるくらい緊張の色が浮かんでいるんだろう。 玄関の鍵を開ける音もどこか居心地が悪くて。 「ママ、いるみたい。入って?」 「あぁ」 俺は小さく頷き、家の中に足を踏み入れた。