俺の腕枕で眠る穂乃ちゃんは、やっぱり仔猫みたいに丸まってて……。


思わず顔がニヤけてくるくらい可愛い。


俺は穂乃ちゃんの寝顔を見ながら、昔のことを思い出していた。


誰も知らない過去――。


俺も穂乃ちゃんと同じように、家族には恵まれてなかった。


両親の顔を知らずに育った。


両親の名前は書類上でしか見たことがない。


だから穂乃ちゃんに家族のことを聞いた時に強張った顔をしてたのが気になったのかも……。


でも、どんな家庭環境でも、両親が揃っている穂乃ちゃんは、俺より少しは幸せなのかもしれない……。