ケータイ小説 野いちご

桜の下で ~幕末純愛~


六月に入った日。

「大阪?」

「ええ、簡単に言えば出張ってやつですね」

沖田はこれから大阪に行くと言う。

「土方さん、左之さん、平助は残りますから何かあれば相談して下さい。お・と・な・し・く していなさいね」

そんな言い方しなくてもいいじゃん…。

「だいぶ馴れてきたから平気だよ」

「その馴れた頃が危険なんですよ。分かりましたか?」

「はい、はい」

少しふてくされて返事をする桜夜。

「約束ですからね。それから見送り、出迎えはしないで下さい。絶対に」

「何で?」

「桜夜が会ってはいけない人が居るからです」

会っちゃいけない人?もしかして…

「芹沢鴨?」

沖田はため息をつく。

「分かっているなら話は早いですね。絶対にいけませんよ」

評判悪い人なんだよね。それはちゃんと総司の言うこと聞いとこう。

芹沢鴨に大阪…。何かあったな…。

あっ!大阪力士乱闘!

誰か死んじゃったとかはなかった筈だけど…。

「総司っ。あのっ、気を付けてね」

「桜夜がそんな顔をするなんて、何かありそうですね。大丈夫ですよ、十分注意します」

沖田はフッと笑い、桜夜の頭にポンと手を置く。

沖田を始め、近藤、山南、永倉、斎藤、そして芹沢らが大阪に向かった。

残された桜夜は少しだけ寂しくなった。

「お子様じゃないんだから…。さ、働こう」

いつも通りに仕事をこなしていく桜夜。

「お桜夜ちゃん、大根買ってきてくれないかい?」

ナミが桜夜にお金を渡す。

「はーい」

桜夜は一人で町に出てはいけないと言われているので一緒に行ってくれる誰かを探して屯所を歩き回る。

が、今日に限って誰も見つからない。

いない…。ひじぃは部屋に居そうなんだけど、いっつもこーんな顔して忙しそうなんだもんな。

桜夜は眉間にシワを寄せて土方の真似をする。

八百屋さんまでだし…近いし…一人で行ってみる?

急いで帰れば平気だよね。

危険な決心をした桜夜は一人で屯所を出ていった。

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