「……な……」



誰?



「…さ……な!!」



さな?あたしの名前?

誰が、あたしの名前を呼んでるの?



「沙南!!沙南!」



すうっと、あたしは目を覚ました。




ぼんやりする視界は徐々に鮮明になっていき、目の前に玲奈とツルヤの顔があった。




「沙南!?」


「さなちん!」



きょろきょろと少し辺りを見回すと、病院のベッドの上だった。


そうか、あたしは倒れたのか。




ゆっくりと起き上がるあたしに、玲奈は勢いよく抱きついた



「よかったぁ!よかったよぉ……」



「なんで、あたし……?」


「さなちん、過度の貧血だって」


「貧血……?」


「ナツやんが目を覚ますまで、ろくに食べてなかったんだろう?」


「……そういえば」




あんまり、食べた記憶がない。