《今のお前では、役に立たん》

ワンダの言葉に、
腹がたった。

「だったら…、
何だって俺を巻き込んだんだよ」

声を荒げず聞く。
恐らく、顔は不機嫌極まりない。

《多少の責任は感じてるからな。
本来人間ごときに、
俺の結界は踏み込めないはずだが
お前は、踏み込んだ》

ソファで丸まったまま、
目を閉じ時々耳を動かす。

《女も男もただの媒介に過ぎん
力と力がぶつかり確保したヴェリアスを一気に送るつもりだった。
媒介の役が終われば、二人は元に戻り立ち去って終わる予定が…》

俺が踏み込んで女を助けたって。
それで、運転手にしろ彼女にしろ俺を見捨てて逃げたのか…。