ホームに入ってきた黒い機械の塊が、ギシリ、と動輪とレールの間で金属の軋む音を立てる。

数千キロを走破した人類文明の遺産。

その巨体はまるで溜息のように、白く熱い蒸気を噴出した。

大陸横断鉄道は、一週間をかけて北米大陸を横切った。

徒歩での旅の事を思えば贅沢は言えないが、やはり一週間というのは長い。

「うぅう…あ゛ーっっっ!座りっ放しも楽じゃないな!」

ホームに降り立つなり、俺は大きく背伸びした。

「性格上じっとしていられないタイプだものね、君は」

俺に続いて客車を降りたティアが笑った。