流備と緑は校長室に向かっていた。

緑の課題もやっと終わって、二人で校長に話をするために向かっているのだ。

流備は一人で行くつもりだったのだが、緑も行くと駄々をこねたので、しょうがなく二人で行くことになった。

「でも、すごいね。ルビーは。あのエメラルドにライバル宣言されちゃうなんてさ」

「つうか、エメラルドのイメージ崩れた。なんなんだ、あの予告状は。漢字は間違ってるし、日本語の使い方はめちゃくちゃだし。小学生だってもっとましな手紙書くぞ!」

その言葉を聞いて、緑は怒っていった。

「むかっ!そんな言い方しなくてもいいじゃない!!一生懸命書いたんだから!!」

その緑の剣幕に流備は気圧されながらも

「なんで緑が怒るんだよ…」

緑は今度は急にしどろもどろになり

「え?あっと…エメラルドもそう思ってるんじゃないかな?って…あはは〜……」

そういうと緑は、バツが悪そうに黙ってしまった。

「変なやつ」



二人は校長室の前に到着した。

「失礼しまーす」

中に入ると校長先生が二人を出迎えてくれた。

「やぁ。いらっしゃい二人とも。えっと、赤石流備君と水晶緑さんだね。どうしたんだい?」

流備が事情を説明した。

「それで、『明けのエメラルド』を見せていただきたいのですが」

校長は鍵のかかった金庫から、こぶし大の箱を取り出し、二人に見せた。

「これが『明けのエメラルド』ですよ。このエメラルドは、ドイツの天才細工師シュバイツ・ステラの処女作といわれているものでね。私が市長から譲りうけた、大切なものなんだよ」

すると緑が、目を輝かせて、しゃしゃり出てきた。

「ウワァー、綺麗だねー快盗が欲しがるのもわかるよ。この大きさ、形、なによりも深い碧色…とろけそうー」

緑が恍惚の表情を浮かべるのを見て、流備も呆れ顔だ。

「まったく。女って奴は…ところで、いつもこれはどこに保管しているんです?」

「この金庫の中ですよ」

その言葉に流備と緑は、同時に「ふむ…」と考え込む。

「少し校長室を見せてもらえますか」

そう言って、流備と緑は部屋をうろうろと見てまわる。

時々「フムフム…」とか「ほうほう…」とかいいながら