オーディションに合格し、日本に帰ったときには大騒ぎで。

空港に溢れんばかりに集まったギャラリーとマスコミ、カメラの数にあたしもママも、目を丸くした。

2次審査で合格してからずっとあたしに密着しているカメラマンの徳井さんと、それから記者会見のために来日した映画スタッフの広報のトミーさん、それから女優になったあたしのマネージャーとして付いてくれることになったキャロルさんがあたしの傍にいてくれた。

キャロルさんは25歳の頭のいい女性で、ラテン系アメリカ人なんだって言ってた。

日本が大好きで、大学時代に勉強のために留学していたことがあるって。

だから、日本語がとても上手で、今回もあたしのマネージャーにぴったりだっていうことで決まったんだって言っていた。

「いきなり生活が変わっちゃってびっくりするかもしれないけど、大丈夫よ。あなたが信じてるものはきっと変わらないから、自信を持っていればいいのよ」

ぱちんと見事なウィンクを決めるキャロルさんは、とても素敵だった。

そうは言っても目の前で焚かれるフラッシュや、びっくりするくらいたくさん並べられたマイク。

100人以上が集まっているんじゃないかと思えるマスコミの記者やカメラマンの数に、驚かずにはいられなかった。

記者の質問に、緊張してうまく答えられないあたしをトミーさんとキャロルさんがフォローしてくれた。

「彼女は、とても英語の発音がきれいなんですよ。それに演技にも無理がない。まるで本当に魔法使いになったように自然に話すんです。そう、台詞を言っているという感じではなくて、普通に会話している。ハリーも感心していましたよ。自分が本当のジェリー・ナイトになったみたいだって」

トミーさんの言葉に、あたしは思わず赤くなる。

「彼女自身は、とてもシャイでかわいらしく、賢い女性です。小柄で幼い少女のようなのに、ふとした瞬間の仕草や表情が驚くほど大人っぽく、色気があるんです。これからどんな女優になっていくのか、非常に楽しみですよ」

にこやかにそう言ってあたしを見つめるトミーさんに、あたしは恥ずかしくて言葉をなくしながら・・・・

それでもすごく嬉しくて、笑顔を返した。

その瞬間、驚くほどのフラッシュが焚かれたのだった・・・・・。