─大会まであと1週間。
刻々と時間は過ぎていく。


「雄哉~!萌花ちゃんが呼んでる」

「あ?」

「ラブラブですね♪」


俊司はそう言って俺の背中を叩く。


「そんなんじゃねぇよ」


照れてる顔を見られたくなくて
俊司の側から離れた。

教室の扉を見ると萌花が
俺のほうを見て手招きする。


「なんかあった?」

「特に用事はないんだけどね(笑)」


萌花はそう言って笑った。

─萌花。

名前で呼ぶ程仲良くなった俺。
あれ以来、俺と萌花は連絡を
取り始め、学校でも話すようになった。

好きだと気付くと意識して
しまうのが俺の性格。

だから好きという気持ちを
心の中にしまい込んだ。

今は…野球のことだけでいい。


「今日部活あるよね?」

「当たり前。あと1週間で大会だからな」

「今日…一緒に帰ろ?」


萌花はそう言って顔を赤らめた。
内心すげぇ嬉しくて、
でも…萌花には知られたくなくって
平然を装って返事をする。


「じゃ、部活終わるまで待ってて」

「うん…!!ありがと♪」


そう言って萌花は俺に手を振り
自分の教室に戻っていった。

そんな仕草でさえ愛しい。


─やっぱり萌花が好きだ。