あれから努力した甲斐あって彼女と同じ大学に進学出来た。
内気な僕を彼女がサポートしてくれたお蔭で沢山の友達もでき、有意義な学生生活を初めて体験した。
みんなでワイワイ言いながら食べる昼食は特別美味しく思える。

木の葉が優雅に彩る季節。
昼休みになり、いつものように彼女のクラスへ。
しかし、彼女の姿はどこにもない。
首をかしげながら窓の外を見渡す。
すると、誰も近寄らない旧校舎に人影が見え、なんとなく気になった僕は思うがままに足を動かした。
ドアは破壊されており、埃まみれの階段には足跡がくっきりと残されていた。
音をたてないようにきしむ木製の階段を上がっていく。
二階の廊下が見えた所で立ち止まってしまった。
視線の先には彼女が見知らぬ男性と唇を合わせていたから…。
逃げ出したかったが、体が動かない。
その時、持っていた微糖の缶珈琲が地面に触れて甲高い声で叫んだ。
目開けていた彼女と視線が合った時、固まった体がようやく動くようになり、旧校舎を去っていった。