「クソッ!
アイツどこ行った」


屋上のドアを開け、
そこに目当ての人物がいないことを確認し
すぐに階段を引き返す。


教室にもいない
部室にもいない。

となるとあとは中庭か。


5階分階段を一気に下りて
最短距離で中庭に行く為に
渡り廊下に向かうと

ちょうど向かいから
ケンゴが走ってくるのが見えた。

お互い息が上がりながら


「リョウ、ちょうどいいとこにおった!」

「どした?西条いたか?」

「あぁ、女子トイレに逃げられた。」

「は!?女子トイレ?」


さすがにそこまでは追い掛けられねえ。
アイツも考えてんな。
つーか必死すぎ。

……まぁそれは俺らもか。

どうする!?俺!と思って
無造作に散らした髪に手をやる。


「もう昼休みは無理やろ。
飯食いながら作戦会議しよか」


ため息をつきながらケンゴが前を歩き
「ああ」と返事して彼の後ろに続いた。