――…
それから数日後。平日の仕事帰り。俺はまた「シャルノ」の自動ドアを開けていた。
正確には今日も、だけれど。俺はなに食わぬ顔をしてテーブルにつき、メニューを見つめる。
三月果歩…
あれからまだ進展は……ない。
言葉すらまともにできない状況の中、俺はここ数日この場所に通うのが日課になっていた。
「ご注文は以上でよろしいですか?」
「ああ」
とても愛想よく笑われても、虚しさだけがつのっていく。
これが彼女なら…
彼女とは似ても似つかないウェイトレスを見つめながら、俺の心は遥か遠くにいる彼女の姿を求めていた。
同じ場所にいるのに、何もできないもどかしさ。
彼女はいたって普通。
この前の出来事がまるで無かったかのように、淡々と時間だけが過ぎていくだけだった。