やば…迷ったよぉ…

なんでぇ…来た事あるよねこの道…

その時遠くから曲が流れてきた

あたしの大好きな曲

でもなんで、どこから聞こえてきてるの?

とたん、恵子はベッドから起き上がった

昨日セットした携帯の目覚ましだった

夢だった

あの暮れなずむ夕日

風は…あったのかな?

でも夕日が作り出す影が一面に広がって

薄暗く

心地よかった。

知ってる気がするけど、あの夢に出てきた道はどこのなんだろう

実際あるのかな…

起きぬけの頭でボーっと考えてたら

後ろから手がのびてきて私を抱きすくめる

愛しい愛しい、あたしの亮ちゃん。

おはようの抱擁で始まるあたしの朝。これがあるのが当たり前だけど、
抱きしめられた時に感じるこのあったかいものはなんだろう。

胸の奥からじわ〜っときて、
時々あたしの目の辺りまで広がってきて
時に涙にかわって気持ちを表現する
この気持ち。

あぁ、あたしはこの人がいるから存在してるんだと
思えるこの幸せな瞬間。

この瞬間に
きれいに夢への疑問は消える。

まるでふわふわの泡が
しゅんと消えてしまうかのように。