「美咲ッ…、」


月曜の朝、教室に入るなり葵(あおい)はあたしの腕を掴んで焦った顔をし、屋上に向かって駆け足で進んで行く。


葵とは中学の時からの仲だ。


あたしが今している事も全て葵は知っている。

葵に知られた時はさすがに軽蔑された。何度も言いあった。

そんなに言われるのなら友達を止める…、と言うか、あたしの事を人として見ないでほしいと言った。


だけど…、葵はあたしを選んでくれた。


悲しい瞳に満ちた葵にきつく締め付けられるくらいにまで胸が痛んだけど、どうしてもそこまでしてでもあたしにはお金が必要だった。



屋上の扉を開けると辺りを見渡しながら葵はあたしを外に連れ出す。

葵は今にも戸惑いを隠せられないほど混乱していて、その瞳は不安がいっぱいって感じだった。