屋敷に帰ると客人が居るという。

(客人・・・誰か)
 皆目検討がつかない。国の者にはここをまだ知らせてはいない。追っ手か?
 居間に行くと、庄左右衛門の前にぼろぼろの小袖と袴を纏った者がいる。後ろの長い髪も埃と汗で固まっている様だ。
 前髪も乱れて・・・前髪!?
 修理に気づいてはっとこちらを見る。一瞬嬉しそうな黒い顔が!
「静音!」
 夢か幻か!ここに静音が・・・居るはずはない!
 だが垢で真っ黒くなっているが確かに愛しい静音!
 修理は駆け寄って肩を抱こうとした。

 だが静音の鉄拳が修理の頬を捕らえた!

 ばきっ

 修理の目の前が暗くなった!