『うわぁ…結構雨降って来た…急いで帰らなきゃ!!』
洗濯物干したままなのに、急に夕立が降ってきた。
私のお父さんとお母さんはテレビ局で働いていて、昔家を空けてることが多いんだ。
洗濯物はもう濡れちゃってるかもしれないけど、急いで帰るに越した事はないよね。
私は水が靴に撥ねるのも気にしないで、家に向かって走り出した。
「ニャー」
『・・・』
どこからか猫の声がする。
野良猫かな??捨て猫とかじゃないよね!?
辺りを見渡しても、猫の姿は無かった。
『声はするけど姿は見えずって、まさにこの事だな。』
少し気になるけど、洗濯物の事も気になるので私はまた走り出した。
「ニャーニャー」
『・・・猫ちゃん、どこに居るの?』
「ニャー」
『ひゃッ!?』
猫はいつの間にか私の足元に居た。
全く気が付かなかったよ。
毛は真っ黒で、目は鍬透き通るような青。
私が今まで見た猫の中で、1番綺麗。
『君綺麗だね。だれかの飼い猫なの?』
「ニャー」
僅かに猫の鳴き声のトーンが落ちた気がした。