「ぎゃ―――!! 恥ずかしくて死ぬ!! ヤダ俺もう行かねー!!」


響き渡るのは、レキの叫び声。


「うるっさいわね!諦めなさい!もう立派な女の子よ!!」


それに負けじと声を張り上げるニーナ。



Queen号は一旦、ティナに近い離れ小島に船を停めた。


そこからニーナと私、女装したゼンとレキで、小舟に乗って入国することになった。



レキはふわふわで茶髪のロングウェーブのウィッグをかぶり、体型を誤魔化せるような、ゆとりのある服を身に纏った。


「こんな恥ずかしい格好じゃ…女の子に声かけらんねーじゃん…」


ぶつぶつと未だに文句を言うレキに、ニーナは鋭い視線を投げつける。


「あのね。言っとくけど、男だってバレるような言動は慎んでよね」


「わーかってるって」


「可愛い子見つけたからって、ホイホイ声かけんじゃないわよ」


「…わ、わーかってるって」


レキの目が少しだけ泳いだのは、気のせいじゃないはず。