この一ヶ月、明海は、何も考えずに、その場の気持ちで、事件を起こすことを注意し生活していた。



 そのためか、情緒不安定にしばしばなったが、加賀屋の存在が、明海のその気持ちに変化をもたらしつつあった。
 


 しかし、明海は、事件を起こすことを止めたわけではなかった。



 最後に、仕事を奪い、木村を奪った、誤認逮捕した、記者阿部を、殺して事件に終止符をうとうと考えていた。



 そうしないと、全ての気持ちにけじめがたけられない気がした。



 阿部をやらなければ、永遠に通り過ぎる人達を殺し続ける気がして明海はならなかったのだ。
 



 加賀屋は、少しでも、明海を知ろうと、教育係だった明海と一緒に仕事中ずっと傍から離れず行動していた。



 そして、仕事が終わってからも、


   「いろいろと教えてほしい。」


  と言っては、夜勤ではない日は、明海を食事に誘ったりして、ほとんど毎日のように明海と一日中行動を共にした。



 時には、休日の日に、映画など行くこともしていた。