放課後、碧人が迎えにきて、ふたりで帰ることになった時のことだった。


「あのさ、俺ら、トクのこと都合良く使ってるわけじゃないからな!」


なんの前触れもなく言いはじめた碧人に、何の事か分からず、

「なに?」

と聞き返す。


「この前さ、波多野がなんか言っただろ?」

「?俺に?」

「おまえが入ってくれて、負担がどーのこーのって…」

「あー。」

「あいつ、なんだかんだ言って、マジでおまえに感謝してるんだぜ!俺だって」

「ちょ、ちょっと、なんだよ!どーした?」

「野球部の応援とかで、ブラバンが忙しくなってきたからさぁ。」

「めざせ甲子園かぁ。」

「波多野の目標だったから…」

「…こっち、続けられるの?」

「キーボードのいらない曲やってけば」

「それ意味なくね?」

「…まあな。」

「だからギターを探してたんだなぁ!」

「わりぃ。」

「俺は全然イイんだけどさ…波多野は?」

「続けたいって…ま、そのうち抜けるって言い出すかもしんねーし。」

「(こっちからは切らねんだぁ?)…ホント仲良いんだなぁ、おまえらって!」

「!喧嘩ばっかだぜ!」

「それだけ仲良いってことだろ。コービーとはどうなった?」

「そのうち、ひょこり顔だすよ。」