修理は片肌を脱いで静音に手当を受けていた。それほど傷は深くはない。静音は慣れぬ手つきでかいがいしく油紙を当て、古着を引き千切って作った包帯を巻く。
「兄様・・・俺が何故元服をせぬか知っているか・・・」
 修理は不思議な顔をした。
「父上から何度も元服をしろと言われてもまだ早いと承知しなかった・・・お目付役の内藤様が俺を小姓として欲しいそうじゃ・・・あの親父いやらしい目つきで俺を見る」
「・・・まだお前は十六であろう。早いと言えば早い・・・側小姓には三十にもなって元服したという例もある(出典「葉隠」)」
「兄様は、おまいは昨年の春に薬草取りに行ったことを覚えているか?」