「…真山さんって、マザコンだったのか」

黙って話を聞いていてくれたタカ君の手元から、長くなったタバコの灰がポロリと落ちた。

灰皿からこぼれた灰を、お手拭で拭きながら私は言った。

「見方を変えれば、母親思いな孝行息子なんだと思うんだけど、私には無理って思っちゃって」

「いや、孝行息子の範囲超えてるだろ」

「うん…。
でも、クリスマスのこと、皆に話してもいいって言うからには、たぶん彼にはそれが『あたりまえのこと』なんだと思うんだ」

「俺は、クリスマスが恋人達のイベントと化している風潮はどうかと思ってるけど、クリスマスがママの豪華な手料理食べる日ってのも『あたりまえ』じゃあないだろ」