「優衣。黙ってるつもり?」

 それから数週間たった今日。手のひらに頬を乗せ、肘を付いている梨海がため息をつきながら、ちらりと優衣を見やった。

「……梨海ちゃん、舞希ちゃん。あのね? その、えっと……」

 優衣は深呼吸を繰り返し、あたし達をゆっくりと見上げる。

「……かっ神崎先輩と! ……付き合うことになりま――」

「「優衣おめでとーっ!!!!」」

 あたしと梨海は同時に叫んだ。優衣は梨海にぎゅーっとされてほっぺをすりすりされてる。

 何回も何回もおめでとうって繰り返す梨海の力が強過ぎて、優衣が潰れそう。

「りっ梨海ちゃん苦しっ」

「優衣おめでとっ! ほら、梨海離してあげな?優衣苦しいって」

「優衣すきすき〜! ん? 苦しいの? しょうがないな〜。離してあげるっ」

「ふぅー。えっと……舞希ちゃん梨海ちゃんありがとう!」

 頬を染めて嬉しそうに、幸せをはにかむ優衣が可愛いくて可愛いくて。恋っていいなって思った時だった。