冷たい風がふいて、僕はコートの衿を立て、少しでも寒さを紛らすように首を竦めた。

ブティックのレンガ造りの外壁に寄り掛かる僕を、街頭が照らす。

道行く人はみんな一様に疲れた顔を張り付けて、足早に去って行く。


ああ、また君の嘘にふりまわされたのかな。


約束の時間を30分過ぎて、ようやく言葉にする。

言葉にしてしまえば君を責めることができる、なじることができる。

心の中で、散々なじって、君を泣かせて。

そんな時にやってきた、真っ赤なコート。

いつだってタイミングのいい君。

いつだってタイミングの悪い僕。

心の中とはいえ、泣かせてしまった罪悪感は、暖かいミルクティーとガトーショコラに姿を変えた。




今宵、街角で。