私はおじさんの歩調に合わせてゆっくりと特別教室棟に続く渡り廊下を歩く。

図書室は1階の北側だから、あの階段を降りて行くのが速いかなー





ん?図書室…?



「図書室って確か文化祭中は開放してなかったと思うんですけど、何か用事ですか?」

「あ、息子に呼ばれたんですよ。図書室で待ってるって」

「あーパパさんでしたか!」

「はは!そうです、パパさんです」

おじさんが照れ臭そうに笑って、私もつられてヘラヘラする。



たしかに普通教室の方は混み過ぎてて、待ち合わせ大変そうだもんね。







程なくして目的の図書室に到着した。

やっぱり使われてない図書室は電気がついてなくて、人通りもなくとても静かだ。



「息子さん、まだですかね?」

「うーん、もしかしたら中にいるかもしれません」


そう言っておじさんがガラッと図書室のドアをあけた。



あれ?鍵あいてるんだ。


「もしよかったら息子に会ってってくれませんか?案内していただいたお礼もしたいので」

「え?あ、はぁ…?」


おじさんに中に促されるまま私は図書室に足を踏み入れる。


暗いな。

息子君、なんで電気つけないんだろう?

電気電気……あ、あった。


私がスイッチを探してパチンパチン、とつけると、図書室が蛍光灯の光で明るくなる。



パチン、パチン。



そしてすぐ、消えた。



あれ?



見るとおじさんが電気のスイッチを押さえて人の良さそうな顔で笑ってる。



「すみません。うちの息子、恥ずかしがり屋なんですよ」



…ガチャン。



今、鍵閉めた…?





「おーい。お父さんきたぞー。」



とおじさんが私の背中を押して奥の方に向かう。