2組の教室の前まで来ると、ガッチガチに固かったはずの私の決心は、みるみるうちに溶けて蒸発してしまった。

 ううー、どうしよう…。

 チュウチョしていると、救世主が現れた。同じバレー部の友達だ。

「あれ? 玲奈、何してるの? 教科書でも借りにきた?」

「ううん、そうじゃなくて…村田君に用があって…」

 友達は振り返って、教室の中をのぞいた。

「教室にいるよ。呼んでこよっか?」

「ありがとー。こっそり呼んでもらえる?」

「うん、いいよー」

 持つべきものは友達だね! 助かったー。

 教室に入っていく友達を見送った。

 あっ、護!

 護のクラスなんだから、いても当たり前なのに、護を見つけてうれしくなった。変なの。

 男子のグループに混じって話をしている。

 そのとき、護の後ろ姿を映していた私の視界がさえぎられた。

 笑顔の村田君がやってきたのだった。