咲は夜中に目を覚ました。
すぐ隣の布団に眠るのは玲の母。

いつだって優しくて温かくてお日様のにおいのする玲の母。
咲の状態を玲から聞いていた玲の母は、咲の好物を用意して待っていてくれた。

いつまでだっていたらいいと言ってくれている玲の母。
でも、ずっと宮ノ内で勤めて来た人だ。
きっとわかっているはずだ。

いつか終わりが来るということを。
だからこそ、咲に隠して涙を流しているのを咲も知っている。

娘のように咲をかわいがってくれている玲の母は、自分の寝室に咲の分の布団を並べて敷いてくれた。
一緒にお風呂にまで入った玲の母と咲。

昔話に花を咲かせてから、二人は眠りについた。