「南先輩!トマトがいい感じに赤くなってますね」

夏休みに入って、一週間が経った。私の隣には、まだ先輩がいる。


「ほんとだ。ナスももうすぐ収穫できそうだな」

「収穫した野菜はどうするんですか?」

「部活の指導とかで夏休みも学校に来てる先生に配るよ。もちろん、俺たちももらえるよ」

先輩は真っ赤に熟したトマトを、一つずつ丁寧にカゴに収穫しながら答えた。

「わ〜嬉しい。この野菜、絶対美味しいですよ」

「菫ちゃんが一生懸命育ててくれたからね」

全てを包み込んでくれるような優しい先輩。冗談だとしても嬉しい。