これは、チターゼたちがアレス騎士団に入ったばかりの頃の話である。

チターゼは任務の際、上司であるエイモンと行動することも珍しくない。今回依頼された任務は、山奥にあるリゾート施設で妖が出るという噂が広まっているため、それを調査するというものだった。

リゾート施設は自然やおいしい食事を楽しめるようになっている。数日泊まって調査をすることになるため、過ごしやすいこの環境にチターゼは少しホッとしていた。

だが、調査をするために歩いていると、エイモンが話しかけてくる。それが鬱陶しいと感じてしまうのだ。

仕事の話なら構わない。いくらでも付き合える。しかし、エイモンがチターゼに振る話はどうでもいい日常会話なのだ。

「おいしいフレンチトーストだって！せっかくだし食べて行こうよ」

「……エイモンさん、今は任務中です」

「綺麗な花だね〜。何ていう種類なんだろ」

「……知りません」

「今度、ギルベルトくんたちとも一緒に来たいな〜。きっとみんな喜ぶと思うよ」

「……」