あの日から、私は1人でうろつく時間が無くなった 常に乾さんが横にいるし、いない時は基本外に出ない 「陽菜が無事で良かった」 そう言って彼が私を抱きしめて、初めて泣いているところを見た 静かに涙だけ流していたけど、その時の顔がどうしても忘れられない 赤の他人で、居候しているだけの私になんであんなに安心したような、でも苦しそうな顔をしていたのか 怖がっていたようにすら見えるあの顔が、脳裏に焼き付いて離れない