【優乃side】


結果はどうあれ、テストもなんとか乗り越えた。

今日はそのご褒美だ。


鏡の前で全身をチェックする。

ゆるくウェーブがかった髪はくせっ毛だからストレートに憧れもあった。
だけど、理沙ちゃんがこの髪を褒めてくれて、わたしも好きになったんだ。

片方を耳にかけてお気に入りのヘアアクセサリーをつける。

服は動きやすさも大事にしつつ、かわいい系を選んだ。


伊月先輩と一緒だから、身だしなみに気合いが入ってしまう。

だって、伊月先輩は本当にかっこいいから。


見た目はもちろん、性格も本当に優しくて心が広くて素敵な人だと思う。


伊月先輩のことを考えているとスマホが鳴って、メッセージが来たことを知らせる。

着いたみたいだ。


素早く返信をしてから玄関に行く。



「行ってきます」

「行ってらっしゃい。気をつけてね」

「うん!」


リビングにいるお母さんに声をかけてから、ドアを開けて外に出る。

エレベーターで下りてエントランスを出るとすぐ目の前に黒い高そうな車が停まっていた。



「優乃」

「あ、先輩。おはようございます」

「おはよう」

「要様、花咲様もどうぞお乗りください」

「いい、おれがする」

「かしこまりました」