「なーんかあんた、ほんとかわゆいねぇ」

「え…?」

「なんか動きがかわゆい。食べちゃいたい」

「……おいしく、ない、ですよ」

「私よりはうまいだろーよ!」



大爆笑のあずりん先輩の横を、廊下から戻ってきたフワリくんが通った。



「おっ、愛の告白でもされたか?」



あずりん先輩の声に、心臓がギクリと跳ねる。


された、の…?


うそ、ほんとに…?



「、うる、せぇ…。」

「はぁ!?まじでされたの!?」

「、…ねぇよ、…んなの。」



されて、……ない?


えっ、どっち!



「っとに、ハッキリしない男だこと」

「…、されて、ない!」



頬杖着いて呆れたあずりん先輩の横を通り過ぎたフワリくんは、旗係のみんなの元に行ってしまった。


机を端に寄せて、床に旗を広げている。



告白は……されてない。


だけど絶対、あの子の気持ちは伝わっている。


私の気持ちは、1ミリも伝わってない。


私の気持ちを伝えるための、勇気がない……




会いたいだけじゃ足りなくなった。


ひと目だけでもなんかじゃ全然足りない。


声を聞きたい、笑ってほしい。



願わくば、私のことだけ見てほしい……