〜これまでのあらすじ〜

音楽高校で声楽を学ぶ陽菜(ひな)は、厳しいレッスンに悩み、劣等感でいっぱいで、孤立した女子だったが、5月のある日、クラス1のモテ男子、翔(しょう)とひょんなことから話すことになる。カフェで話を聞いてもらい、その時鐘はレジにあった四つ葉のクローバーの栞を陽菜にプレゼントする。夏休み明け、放課後デートの約束をするが、その日翔は学校に来なかった。その後翔が交通事故で亡くなったことを聞かされる。

3年後、陽菜は声楽を続け、音大の2年生になっていた。陽菜は翔のことをいつだって忘れなかった。歌うときに必ず、翔のくれた栞にお祈りをする。4月、なにかと世話を焼いてくれる美人の声楽の大学院の先輩、美玲(みれい)先輩が、学内リサイタルで歌うので、陽菜は聞きに行く。そのとき、美玲の伴奏をしていたピアノ科の先輩、鐘(しょう)と出会う。鐘は以前好きだった翔にそっくりだった。

陽菜、美玲、鐘、そして冬真という同じく声楽の男の先輩と楽しく毎日を過ごしている。

美玲は鐘に猛アタックしているが、陽菜は冬真が美玲のことを好きだということを知る。

陽菜はコンクールを受けることになり、先生の推薦で鐘に伴奏を頼むことになる。鐘は陽菜に思わせぶりな態度を取る。コンクール地区大会の演奏中に、陽菜は鐘への気持ちに気付いてしまう。素晴らしい演奏をおさめ、全国大会進出となる。

美玲は、陽菜と鐘の演奏を聴いてすぐ客席をあとにし泣き出してしまう。美玲が陽菜によくするのは優越感からだった。素晴らしい演奏をした陽菜に嫉妬する。それだけでなく、美玲は鐘にこの夏、他に好きな人がいると振られており、楽しそうに演奏をする2人を見て、鐘が好きなのは陽菜ではないかと勘繰る。追いかけてきた冬真は、取り乱した美玲に声をかける。自分は最悪な女だと言う美玲。冬真はそれを否定する。冬真は泣き崩れる美玲の肩をためらいながら抱きとめる。美玲はそれを拒まなかった。