フィオナとエヴァンが潜入する結婚式場は、まるでおとぎ話の世界から飛び出してきたような豪華なお城のような外見をしている。

「綺麗……。ファンタジーの世界にいるみたいだ」

エヴァンが結婚式場を見上げ、その美しさに見惚れる。フィオナはシオンから聞いた話を思い出した。

「中もとても豪華で、まるでお姫様になったみたいと女性に人気の結婚式場だとシオンさんが言っていたわ」

「お姫様……。うん、確かにそうだね」

お城のような結婚式場と、フィオナをエヴァンは交互に見つめる。フィオナはただ首を傾げるだけだ。

「ねえねえ、結婚式の予約を潜入のためにするんでしょ?」

「ええ、そうしてほしいとシオンさんが言っていたわ。費用は経費で落とすからと……」

フィオナがそう言うと、「フィオナ、ドレスの試着するってことだよね!?」とエヴァンが目を煌めかせながらフィオナの両手を包む。まるで、結婚式場のパンフレットを見ていたレティシアのような目だ。