それから数時間後、家に帰った私はダイニングテーブルの上で時計を睨んでいた。

なぜかというと、弟の達綺ちゃんの帰りが遅いから。

ギターとられたうっぷんを達綺のせいにしてやろうと思って待っているのに帰ってこない。

だいたい達綺が持って行けって言ったから持って行っただけで、私にはなんの非はない!

こんなのただの責任放棄だけど!

ああ!よりによってなんであんな悪魔的に恐ろしい組織に盗られなきゃいけないんだよ。

もしも壊されたりしたらどうする!


「うおおーーん!」

「……犬?」


その声に気がついて振り向くと、怒りの矛先である達綺がついに帰ってきたのを確認した。


「達綺く~ん遅かったねえ。ただいまくらい言おうか?」


怒りを抑えて、達綺が近づいて来てからプロレス技をお見舞いすることに決めた。


「え?ただいま……って言おうとしたけど、入った瞬間うめき声がしたから、なんかいるのかと思って忘れてた」

「えっ?」


そんな深刻な独り言だった?それは恥ずかしい。


「しかも何今の遠吠え。マジで家に犬がいるのかと思ったし」


やれやれって感じで息をつく達綺。

そのムカつく仕草にさらにムカついて距離を縮めた。

ゆらりと立ち上がって腕を広げる。


「達綺、こっち来なさい!」

「うん、だからなに?」


くそ、こんな時でも生意気な態度を……。

ここはやはりギャフンと言わせなければ!