熊本旅行の1週間後、
滅多に鳴ることがないスマホが着信を告げた。

相手は、先輩のお兄さん。

「はい。」

「あ、もしもし千鶴ちゃん?
夜にごめんねー」

「いえ。どうしたんですか?」

「千鶴ちゃんのおかげで
あいつ手術することにしたんだって!」

「え!?ホントですか!?」

「うん、俺も今知ってさ!
嬉しくて、お礼したくて!
本当にありがとう!」

「いえ、私は何も」

「いやいや、旅行から帰ってきた日に
親父にわざわざ頭下げてお願いしたらしいよ。
手術してくださいって」

「手術してください?」

「あー、そう。
うちの父親、病院で院長やってるんだよ。
それで」

「なるほど。」