ケータイ小説 野いちご

朝起きて、顔を洗って身支度を整える。朝ご飯は食欲がないから抜いて、コーヒーを一杯だけ飲んだ。時間がもったいないからすぐ飲めるインスタントのやつだ。

家を出る時間になり、かばんを手に立ち上がる。大学までは歩いて五分ほど。大学から近いところで暮らしていると楽だ。

鏡の前を通った時、チラリと見えた自分の顔はひどいものだった。前髪は長めで、全体的に暗い印象を与える顔だ。ずっと眠れない日が続いているからか、目の下には濃い隈ができてしまっている。

でも、どんなにひどい顔をしていようが、関係ない。僕に話しかけてくれる人なんていないから。

アパートのドアを締める時、行ってきますという言葉は口から出てこない。「行ってらっしゃい」という言葉を聞いたことがほとんどないから……。

アパートの階段を降りれば、色んな人の生活の一部が見える。友達と遊びに行く約束をしながら歩く小学生、かばんを手に会社へと急ぐサラリーマン、楽しそうにのんびりと歩く老夫婦ーーー。

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